Ubuntu 14.10 (コードネーム: Utopic Unicorn 「理想郷のユニコーン」)が、2014年10月23日にリリースされました。
UtopicUnicorn ReleaseNotes https://wiki.ubuntu.com/UtopicUnicorn/ReleaseNotes
Linux Kernelのバージョンは3.16、また、Unityのバージョンは7.3.1に、それぞれバージョンアップしています。
Ubuntu 14.04と目に見えて変わっているのは、パネルの言語インジケーターがリスト選択ではなく、日本語の「Anthy」だけになり、半角/全角切り替え時のメニューラベルが表示されなくなった程度で、他に新機能といわれるような追加や変更はありません。
Ubuntu 14.10はNon-LTSなので、そのサポート期間は9ヶ月です。
Ubuntu 14.04 LTSのサポートが5年で、長期間使えることを考えると、数々のバグフィックスやパフォーマンスが改善されているとはいえ、「とにかく最新のUbuntuを使いたい」という方以外には、あまりアップグレードするメリットはないかもしれません。
以下、Ubuntu 14.10のインストールと、インストールした後のおすすめ設定を10個紹介します。
Ubuntu 14.10をインストールするために推奨される、最低限必要なシステム要件は、「Installation Guide for Ubuntu 14.10」によると、[CPU] Pentium 4 (1GHz)、[Memory] 512MB、[HDD] 5GBで、これはUbuntu 14.04 LTSと変わっていません。
ただし、Ubuntuの標準デスクトップ環境であるUnityは重いので、実際にこのスペックでは動かすのは難しくなっています。
今回、私がUbuntu 14.10をインストールしたPCは、Lenovo G570 (CPU: Celeron B800 (1.5GHz), Memory: 2GB, HDD: 320GB)です。
このスペックであれば、Webブラウジングや動画のストリーミング再生、オフィスドキュメントの作成、画像の編集作業、MP3やCD音楽の再生、HD動画やDVDの再生など、一般的な使用であれば特に問題なく使えます。
Installation Guide for Ubuntu 14.10 https://help.ubuntu.com/14.10/installation-guide/
Meeting Minimum Hardware Requirements https://help.ubuntu.com/14.10/installation-guide/en.i386/ch03s04.html
Ubuntu 14.10をインストールするには、ISOイメージをダウンロードして、「インストールDVD」を作成する必要があります。
Download Ubuntu Desktop http://www.ubuntu.com/download/desktop
Ubuntuのダウンロードページにアクセスすると、いままでとの違いに気づくとおもいますが、推奨されているUbuntu 14.04.1 LTSのダウンロードの下に、Ubuntu 14.10のダウンロードがあります。
Ubuntu 14.10の「Choose your flavour」リストから、「64-bit」版か「32-bit」版かを選んだら(PCの搭載メモリが2GB以下であれば、「32-bit」を選ぶようにしましょう)、「Download」ボタンをクリックします。
「Contribute to Ubuntu」という寄付金のページが表示されますが、そのまま寄付をせずにダウンロードしたいときは、ページ下部にある「Not now, take me to the download」リンクをクリックして、Ubuntu 14.10のISOイメージ「ubuntu-14.10-desktop-i386.iso (1.1GB)」をダウンロードしましょう。
ISOイメージのダウンロードが完了したら、イメージをDVDに書き込んでインストールDVDを作成します。
Ubuntu 14.04の場合、ファイルマネージャの標準機能で、ISOイメージの書き込みができます。ISOイメージを選択したら、右クリックメニューから「書き込む」を選んで、インストールDVDを作成しましょう。
なお、WindowsでDVDを書き込む方法については、以下のページを参考にしてください。
How to burn a DVD on Windows http://www.ubuntu.com/download/desktop/burn-a-dvd-on-windows
「自分のPCでUbuntuが使えるかどうか」を確かめるために、まずは、作成したインストールDVDからUbuntu 14.10を起動してみましょう。
インストールDVDを挿入してPCの電源を入れると、Ubuntuをインストールするか試すかの選択画面が表示されます。
使用言語から「日本語」を選択して、「Ubuntuを試す」ボタンをクリックすれば、Ubuntuの動作確認ができます。
Ubuntu 14.10のインストールには、言語パッケージなどのダウンロードのため、インターネット接続が必須になります。
まずは、上部パネル右側にあるネットワークアイコンから、いつも使っている無線LANに接続してみましょう。
また、モニターの表示やキーボード/マウスの動作など、接続してあるデバイスを一通り確認します。
インストールDVDで動作確認して特に問題がなければ、いよいよUbuntu 14.10をハードディスクにインストールします。
Ubuntu 14.10のインストール時間は、30分もかかりません。入力するのはインストールの種類とユーザー情報ぐらいで、基本は次に進んでいくだけでインストールが完了します。
では、デスクトップ右上にある「Ubuntu 14.10のインストール」アイコンをダブルクリックして、インストールを開始しましょう。
「ようこそ」画面が開くので、左側にある使用言語リストから「日本語」を選んで、「続ける」ボタンで次へ進みます。
「インストールの準備」では、ハードディスクの空き容量(7.1GB以上)やインターネット接続が確認されます。2つのオプションはオフのままで、次へ進みましょう。
「インストールの種類」は、非常に重要です。Ubuntu 14.10をどのようにインストールするかを選択します。
上から、Ubuntuのアップグレードインストール、他のOSとのデュアルブート、クリーンインストールなので、間違えないようにしましょう。
また、複数のパーティションがあるハードディスクで、Ubuntu 14.10のインストール先を指定したいときは、「それ以外」を選びます。
デバイスからインストール先のパーティション(ここでは /dev/sda1)を選択したら、その下の「Change」ボタンをクリックして、パーティションの編集を開きます。
利用方法リストから「ext4ジャーナリングファイルシステム」を選んで、「パーティションの初期化」をチェックします。
マウントポイントを「/(ルート)」にしたら、「OK」ボタンでパーティションの編集を閉じ、「インストール」ボタンをクリックすれば、ハードディスクへのインストールが開始されます。
住んでいる地域は、自動検出されるので、次へ進みましょう。
キーボードも自動検出されるので、そのまま次へ進みます。
最後に、Ubuntuにログインするためのユーザー名とパスワードを入力します。
あとは、スライドショーを見ながら、インストールが終わるのを待ちましょう。
インストールDVDを取り出して再起動すれば、Ubuntu 14.10がハードディスクから起動します。
Ubuntu 14.10のデフォルトブラウザは、いまだにFirefoxです。Google Chromeを使っている方は、インストールしてデフォルトのブラウザに設定しておきましょう。
Chrome ブラウザ https://www.google.co.jp/chrome/browser/
Firefoxを起動して、Google Chromeのダウンロードページにアクセスしたら、「Chromeをダウンロード」ボタンをクリックします。
debパッケージを選択して、右下の「同意してインストール」ボタンをクリックすると、ファイルの処理方法について尋ねられるので、「ファイルを保存する」を選んでダウンロードします。
あとは、ダウンロードした「google-chrome-stable_current_i386.deb」をダブルクリックして、Ubuntuソフトウェアセンターからインストールしましょう。
Google Chromeの初回起動時に、既定のブラウザにするか尋ねられるので、はいを選択すれば、Ubuntuのデフォルトブラウザに設定できます。
なお、Firefoxを使わないのであれば、ソフトウェアセンターから削除しておくことで、以後、使わないアプリの余計なアップデートをしなくて済むようになります。
また、メールはGmailしか使わないのでメールクライアントはいらない、という方は、あわせて「Thunderbird」も削除しておきましょう。
Ubuntu 14.10のデフォルトでは、ファイルの利用履歴が記録され、また、Dashで検索するときに、海外のAmazonやRakutenなど、オンラインの商品も含めて表示されるようになっています。
これらプライバシー情報の設定をオフにするには、パネルの電源アイコンをクリックして、「システム設定」を開きます。
さらに、「ユーザー向け」カテゴリから、「セキュリティとプライバシー」アイコンをクリックして開きます。
「ファイルとアプリケーション」タブを選んで、「ファイルとアプリケーションの利用状況を記録」オプションをオフにすれば、以後ファイルの利用履歴が記録されなくなります。
いままでの利用履歴を削除したいときは、「利用履歴データをクリア」ボタンをクリックしましょう。
また、Dash検索にオンライン商品を表示したくないときは、「検索」タブの「オンラインの検索結果を含める」をオフにします。
さらに、Ubuntuでエラーが発生した時のエラーレポートの送信を無効にするには、「診断」タブから「Canonicalにエラーレポートを送信する」をオフにしておきましょう。
Unity Dashの検索では、アプリケーションだけでなく、PC内のファイルやフォルダも表示されるため、動作が重くなります。
「Dashでファイルやフォルダの検索はしない」という場合は、非表示にして軽量化しましょう。
Dashプラグインの「ファイルとフォルダー」を無効にすれば、Dash検索にファイルやフォルダは表示されなくなります。
Dashを開いて、アプリケーションLens(左から2番目)を選んだら、「ファイルとフォルダー」で検索して、「ファイルとフォルダー」プラグインのアイコンをクリックします。
「無効」ボタンをクリックすれば、「ファイルとフォルダー」プラグインが無効化されます。
また、アプリケーションLensには、「さらに提案」としてダウンロード可能なアプリが、インストール候補として表示されますが、これも不要であれば非表示にしましょう。
「さらに提案」を非表示にするには、Ubuntu Unityのカスタマイズツールである「Unity Tweak Tool」を使います。
Ubuntuソフトウェアセンターから、「Unity Tweak Tool」で検索してインストールしておきましょう。
Unity Tweak Toolを起動したら、「Unity」カテゴリの「Search」アイコンをクリックします。
「アプリケーション」セクションにある「さらに提案の表示」オプションをオフにすれば、アプリケーションLensからインストール候補が表示されなくなります。
Ubuntu 14.10のデフォルトフォントサイズは「11pt」で、すこし小さめに設定されています。
フォントサイズを大きくしたいときは、Unity Tweak Toolを使います。
「Appearance」カテゴリの「Fonts」アイコンをクリックすると、フォントの設定が開きます。
「デフォルト」がデスクトップの基本フォントなので、クリックして好みのサイズに設定しましょう。
また、「ドキュメント」と「ウィンドウタイトルのフォント」も、合わせて調整しておきます。
Ubuntu 14.10にはデフォルトで、Ubuntuをだれでも一時的に利用できる「ゲストセッション」があり、ログイン画面から選択できるようになっています。
また、自分のアカウントでログインした後でも、システムアイコンから間違って「ゲストセッション」を選ぶと、何のメッセージもなく、いきなりユーザーが切り替わってしまいます。
個人利用のPCの場合、ゲストセッションを使う機会は少ないので、削除しておきましょう。
管理者権限で、LightDM(ログイン画面)の設定ファイル「50-ubuntu.conf」を編集するため、端末から以下のコマンドを実行します。
$ sudo gedit /usr/share/lightdm/lightdm.conf.d/50-ubuntu.conf
「50-ubuntu.conf」ファイルの最後に、「allow-guest=false」の一行を追加して保存します。
[SeatDefaults] user-session=ubuntu allow-guest=false
あとは、Ubuntuを再起動して、ゲストセッションが削除されていることを確認しましょう。
ダウンロード元のサーバーを最適化しておくと、お気に入りのアプリやアップデートのインストールを速くすることができます。
システム設定から「ソフトウェアとアップデート」アイコンをクリックして開きます。
「ダウンロード元」はデフォルトで「日本のサーバー」になっていますが、「その他」を選んで「最適なサーバーを探す」ボタンをクリックします。
ダウンロードサーバーのテストが完了すると、自動的に最適なサーバーが選択されるので、「サーバーの選択」ボタンをクリックして設定しましょう。
Ubuntu 14.10標準のファイルマネージャ(Nautilus)は動作も重く、また、サイドバーをツリー表示することができないため、ファイルの移動やコピーがとても不便です。
Ubuntu 14.04では、ツリー表示できる軽量ファイルマネージャ「Thunar」を使っていたのですが、Ubuntu 14.10では、MIME Typeが正常に認識されず、拡張子ごとに開くアプリを設定できないという、致命的なバグがあるため使えません。
Bug #1382897 “Thunar open default not respecting the mime type” https://bugs.launchpad.net/ubuntu/+source/thunar/+bug/1382897
その代わりとして、軽量デスクトップ環境「LXDE」標準のファイルマネージャ「PCManFM」であれば、サイドバーのツリー表示にも対応しており、また、問題なく拡張子ごとに開くアプリを設定できます。
PCManFMはUbuntuソフトウェアセンターからインストールでき、オーソドックスで使い慣れたファイル操作が可能です。
サイドバーにフォルダツリーを表示するには、サイドバー上部のメニューから「ディレクトリツリー」を選びましょう。
Ubuntu 14.04と同様に、Ubuntu 14.10でも公式リポジトリからffmpegをインストールすることはできません。
WinFFなど、もともとffmpegのGUIアプリには、代わりとしてavconvがデフォルトで設定されています。
avconvによる動画変換がうまくいかないときは、ffmpegをPPAからインストールして、GUIアプリに設定してみましょう。
Ubuntu 14.10にffmpeg 2.4.2をインストールするには、端末から以下のコマンドを実行します。
$ sudo apt-add-repository ppa:samrog131/ppa $ sudo apt-get update $ sudo apt-get install ffmpeg-real
インストールしたffmpegをWinFFに設定するには、「編集」メニューから「設定」を開き、「Linux」タブを選びます。
「FFmpegのパス」には、「/usr/bin/avconv」が設定されていますが、これを「/opt/ffmpeg/bin/ffmpeg」に変更すれば、ffmpegによる動画変換ができるようになります。
Ubuntu 14.10で、MP4などの動画ファイルやMP3などの音楽ファイルを再生しようとすると、再生に必要な「拡張マルチメディアプラグインのインストール」画面が表示されます。
再生のたびにインストールするのは面倒なので、あらかじめ再生に必要なコーデックをインストールしておきましょう。
動画や音楽ファイルをまとめて再生できるようにするには、「Ubuntu restricted extras」をUbuntuソフトウェアセンターからインストールします。
「Ubuntu restricted extras」をインストールすることで、動画や音楽の再生に必要なコーデックがインストールされ、ほとんどのメディアファイルを再生できるようになります。
「Ubuntu restricted extras」をインストールすれば、自分で作成したDVDなど、著作権制限のないものは再生できるようになります。
ですが、市販されているDVDのように、著作権制限のあるDVDをUbuntuに挿入しても、自動的に認識されず、再生することはできません。
著作権制限のあるDVDも再生できるようにするには、以下のコマンドを端末から実行して、「libdvdcss2」ライブラリをインストールします。
$ sudo /usr/share/doc/libdvdread4/install-css.sh
「libdvdcss2」ライブラリがインストールされると、著作権制限のあるDVDを自動認識して、再生できるようになります。
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